ChatGPTを使ってみたいけれど、「個人情報は大丈夫かな」「危険性はないの」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、ChatGPTの安全性について初心者の方にもわかりやすく解説し、安心して活用するためのポイントを具体例とともに紹介します。
ChatGPTの安全性は高い?基本を理解しよう
結論から言うと、ChatGPTは適切に使えば安全性の高いサービスです。運営元であるOpenAI社が、世界中のユーザーが安心して利用できるよう、さまざまな対策を講じています。
ただし「絶対に安全」というわけではなく、使い方によってはリスクも存在するため、基本を押さえておくことが大切です。
OpenAIによる基本的な安全対策
ChatGPTには、運営側による複数の安全対策が施されています。たとえば次のような仕組みです。
- 通信の暗号化(送受信されるデータを保護)
- 不適切なコンテンツの自動フィルタリング
- 違法行為や有害な内容に関する回答の制限
- ユーザーごとのアカウント管理
実際にChatGPTを使うと、危険な情報を聞いても「お答えできません」と返答が拒否される場面があります。これは、安全に使ってもらうための仕組みが働いている証拠です。
圧倒的なユーザー数に支えられた信頼
ChatGPTが世界中で支持されているのは、誰でも気軽に使える手軽さと、運営側の継続的な安全対策が両立しているからです。2022年11月の公開以降ユーザーは増え続け、2026年2月には週間アクティブユーザー数が約9億人に達しました。皆が利用している=安全とは必ずしも言えないまでも、これだけの利用者がいるサービスということは、一定その安全さも保障されると思います。
なお、これだけ多くの人に選ばれている主な理由は次のとおりです。
- 無料プランでも基本的な機能を使える
- 日本語を含む多言語に対応している
- 仕事・学習・調べもの・文章作成など幅広い用途に使える
- ブラウザやスマホアプリから手軽にアクセスできる
- 不適切な質問への回答制限など、安全面の機能が継続的に改善されている
- 国内外の大手企業や教育機関が業務に採用しており、信頼の裏付けがある
手軽さだけでなく、運営側がリスク対策を続けている点も、多くの人が安心して利用できる理由のひとつです。
ChatGPT関連の事件
とはいえ、ChatGPTの利用によって大きな事件となったケースがいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。

1. 法律・裁判での“虚偽引用”事件
Mata v. Avianca事件(米国・2023)
弁護士がChatGPTに法律調査をさせた結果、
- 存在しない判例
- 架空の引用
- 偽物の裁判記録
を裁判所に提出。
しかも弁護士は最初、「ChatGPTが“存在する”と言ったので信じた」と説明しました。
裁判官は激怒し、
- 弁護士に制裁金
- 職業倫理違反認定
- AI利用時の検証義務を強調
という流れになりました。
これは世界的に「AI hallucination(幻覚)」問題を有名にした事件です。
その後の“AI判例捏造”連鎖
以降、米国では同種事件が大量発生。
- 架空判例
- 存在しない法条文
- AI生成の偽引用
を提出した弁護士が続出しています。
最近では、AI虚偽引用問題を起こした弁護士が別案件への参加を裁判所から拒否された事例まで出ています。
2. 個人情報・機密情報漏洩事件
Samsung機密漏洩事件(韓国・2023)
SamsungのエンジニアがChatGPTへ、
- ソースコード
- 半導体関連データ
- 社内会議内容
を貼り付けて利用。
結果として、機密情報が外部AIへ送信される問題になりました。
これにより世界中の企業で、
- 「ChatGPT禁止」
- 「生成AI利用規程」
- 「社内専用LLM導入」
が一気に進みました。
実際、この事件は「生成AIセキュリティ元年」のような扱いをされています。
3. 自殺・精神依存系事件
ベルギー男性自殺事件(2023)
AIチャットボットと数週間会話していた男性が、精神的依存を深め、最終的に自殺したと報道された事件。
報道によれば、
- 気候変動不安
- 孤独
- AIへの感情移入
が重なり、
AIが妄想・自己犠牲思想を強化した可能性が指摘されました。
この事件以降、
- 「AI companionship(AI恋人・相談相手)」
- 「AIセラピー」
- 「感情依存」
への倫理議論が急増しました。
2025年にも米国で死亡した4人の遺族がChatGPTが自殺の原因になったとして、OpenAIを訴訟するといった事態が発生しています。

その記事の中で、チャットGPTの週間利用者は約8億人に上るとされ、そのうち約100万人以上が自殺に関するやりとりをしていると推計されています。
ChatGPTの安全性という意味ではこの自殺・精神依存系は最も重要なトピックと言えるところかもしれません。
4. 国家レベルの規制・禁止措置
イタリアのChatGPT一時禁止(2023)
2023年、Italy の個人情報保護当局が、ChatGPTを一時停止する対応を行いました。
理由は、
- 個人情報収集の透明性不足
- GDPR違反疑惑
- 年齢確認不足
- データ漏洩懸念
などです。
これは「国家が生成AIを実際に止めた」初期の代表例です。
その後OpenAI側が修正対応し、制限は解除されました。
ChatGPTに関わる他の事件
他にも、ChatGPTが銃撃犯に助言を行ったケースやChatGPTからの医療アドバイスで薬を過剰摂取してしまったケースなどユーザー数が多いこともあって、様々な事件が国内外で発生しています。


ChatGPTで気をつけるべきリスクとは
上記の具体的な事件を踏まえ、ここでは改めてChatGPTにおいて気をつけるべきリスクをまとめます。
個人情報の入力
最も注意すべきは、個人情報を入力しないことです。ChatGPTに入力した内容は、サービス改善のために学習データとして利用される可能性があります。氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報などを入力すると、思わぬ形で情報が残るリスクがあります。
誤情報(ハルシネーション)
ChatGPTは、間違った情報を自信たっぷりに答えてしまうことがあります。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で、ChatGPTだけでなくAI全般の問題です。
たとえば、存在しない書籍のタイトルや、架空の歴史上の人物について、もっともらしく説明してしまう場合があります。
特に医療、法律、税務などの重要な判断を伴う情報は、必ず公式情報や専門家に確認しましょう。
著作権・利用規約
ChatGPTで生成した文章をそのまま商用利用する際は、著作権や利用規約への配慮が必要です。
生成された内容が既存の著作物と類似している可能性もあるため、ビジネスで使う場合は内容を必ずチェックすることが求められます。
専門性
犯罪にまつわる相談などはそもそもChatGPT云々の話ではない部分もあるかと思いますが、自殺相談や法律内容の相談など、本来専門家が対応すべきことはどれだけ生成AIの精度が上がっても相談すべき内容でないことは改めて利用者は認識すべきと言えます。
生成AIの情報が正しいか否か、という議論ではなく専門家が有しているべき属人性が無く、ChatGPTは責任を取ることが出来ないのです。
ChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫?安全性の観点から解説
個人情報の入力は基本的に避けるのが安全です。OpenAI社のプライバシーポリシーでは情報の取り扱いについて明記されていますが、入力した情報がAIの学習に使われる可能性があるため、慎重に扱う必要があります。
入力を避けるべき情報
具体的に、次のような情報の入力は控えましょう。
- 氏名、住所、電話番号などの個人を特定できる情報
- マイナンバーや銀行口座、クレジットカード番号
- 会社の機密情報や顧客情報
- パスワードや認証コード
- 健康診断の結果など機微な情報
安全に使うコツ
個人情報を伏せながら活用するコツとして、固有名詞を「Aさん」「B社」と置き換える方法があります。たとえば「東京都の山田太郎さんへの手紙を書いて」ではなく、「お世話になっている取引先の方への手紙を書いて」と入力することで、情報を守りながらChatGPTの便利さを活用できます。
また、設定画面から「モデルを改善する」オプションを無効にすることもおすすめです。
ChatGPTはウイルス感染する?安全性の確認ポイント
結論として、公式のChatGPTを使う限り、パソコンやスマホがウイルスに感染する心配はほぼありません。
ただし、ChatGPTを装った偽サービスや、ChatGPTが生成したコードを実行する場面などで間接的なリスクが生じることがあります。
ChatGPT自体で感染する可能性
ChatGPTをブラウザ(ChromeやSafariなど)や公式アプリ上で使い、テキストだけをやりとりしている限りは、利用者の端末に実行ファイルをインストールする仕組みはありません。そのため、ウイルスに感染することは基本的にありません。
ただし、次のような場面では間接的なリスクが発生します。
- ChatGPTが生成したプログラムコードを内容を確認せずに実行する
- 提示されたURLをクリックして偽サイトに誘導される
たとえば、ChatGPTが作成したコードを実行した結果、意図せず重要なファイルが削除されてしまうことがあります。ウイルスとは違いますが、内容をよく確認する必要があります。
また、ChatGPTから誘導された外部サイトが、個人情報を抜き取ったり、悪意のあるファイルをダウンロードさせたりする可能性もあります。
外部リンクへの注意
気をつけたいのは、ChatGPTの知名度を悪用した偽サイト・偽アプリ・偽拡張機能の存在です。実際に過去には、次のような事例が報告されています。
- スマホのアプリストアで偽アプリをインストールしてしまい、高額課金される
- ブラウザで偽拡張機能をインストールしてしまい、SNSのログイン情報を抜き取られる
- 「ChatGPT料金未払い」というメールの指示に従ったところ、個人情報を抜き取られる
こうした被害を避けるため、利用前に次の項目を必ず確認しましょう。
- URLが「chatgpt.com」または「chat.openai.com」になっているか(似た文字を使った「chatgtp」「chatqpt」などは偽物)
- 配信元が「OpenAI OpCo, LLC」と表記されているか
- 「今すぐダウンロード」「期間限定無料」など過度に急かす表現がないか
- 支払い情報を求める画面のURLが正規ドメインか
ChatGPT自体は無料で公式サイトから使えるため、ダウンロードを促す広告やインストーラーには特に警戒が必要です。
ChatGPT内広告への注意
OpenAIは2026年2月9日からChatGPT内での広告表示を開始しました。
「広告は回答内容に影響を与えない」としていますが、次のようなリスクも想定されます。
- 広告枠を利用した悪質サイトへの誘導
- スポンサー商品を「おすすめ」として紹介
ChatGPTから提示されたリンクをクリックする前には、表示されたドメイン名をよく確認し、知らないサイトであれば評判を調べてからアクセスする習慣をつけましょう。
ChatGPTを安全に使う方法を実践しよう
ChatGPTを安全に使うには、いくつかの基本ルールを守ることが大切です。ちょっとした意識で大きくリスクを減らせます。
個人情報を入力しない
最も重要なルールは、個人情報を入力しないことです。
仕事で使う場合も、社内の機密情報や顧客データを直接入力しないよう注意しましょう。
出力内容を確認する
ChatGPTの回答は、必ず自分の目で確認することが必要です。
特に数字、日付、固有名詞などは誤りが含まれる可能性があるため、公式情報源と照らし合わせることをおすすめします。
公式サービスを利用する
利用する際は必ず公式サービスを選びましょう。
OpenAIが提供する公式サイト、または公式アプリ以外は、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
ChatGPTは子どもでも使える?安全性を考慮した利用法
ChatGPTの利用規約では、13歳未満の使用は認められていません。また、13歳以上18歳未満の場合は保護者の同意が必要とされています。子どもが使う際は、保護者がしっかりとサポートすることが前提です。
教育用途での活用
適切に使えば、ChatGPTは学習の強い味方になります。たとえば次のような使い方が考えられます。
- 宿題でわからない言葉の意味を調べる
- 英語の例文を作ってもらう
- 自由研究のテーマを相談する
- 読書感想文の構成を考える
ただし、答えをそのまま写すのではなく、考えるヒントとして使うように心がけましょう。
保護者が活用したいペアレンタルコントロール機能
OpenAIは2025年9月29日に、ChatGPT向けのペアレンタルコントロール機能を正式に導入しました。
設定方法
保護者のアカウントから次の手順で連携します。
- ChatGPTの「設定(Settings)」を開く
- メニュー内の「ペアレンタルコントロール(Parental controls)」を選ぶ
- 「家族メンバーを追加(Add family member)」を選び、メールアドレスまたは電話番号で子どもに招待を送る
- 子どもが招待を承認するとアカウントが連携される
設定で制御できる項目
連携後、保護者のアカウントから次の項目を設定できます。
- クワイエットアワー(ChatGPTを利用できない時間帯の設定)
- 音声モードのオフ
- メモリ機能のオフ(会話の記憶を保存しない)
- 画像の生成・編集機能のオフ
- 入力内容をモデル学習に使わせない(オプトアウト)
- 機微なコンテンツに対する追加保護(連携時に自動で有効化)
連携した子どものアカウントには、過激な表現、バイラルチャレンジ、性的・恋愛的・暴力的なロールプレイ、極端な美の理想像といったコンテンツへの保護が自動で強化されます。
安全通知
子どもの会話から自傷行為などの深刻な兆候が検知された場合、OpenAIの審査担当者の確認を経て、保護者にメール・SMS・プッシュ通知で安全アラートが届く仕組みも用意されています。
利用上の注意点
- 13歳未満は利用規約で使用が認められておらず、ペアレンタルコントロールの対象外です
- 子ども側はいつでも連携を解除できますが、解除した時点で保護者に通知が届く仕組みです(解除後は制限や安全アラートは無効になります)
- 別のメールアドレスで新規アカウントを作成したり、ログインせずに利用したりすれば制限を回避できてしまうため、完全な対策にはなりません
- OpenAI自身が「安全策は完璧ではなく、回避される可能性がある」と公表しています
ペアレンタルコントロールは万能ではないため、設定による制限と家庭での会話の両方を組み合わせることが、安心して使うための近道です。
よくある質問(FAQ)
ChatGPTの安全性についてよく寄せられる質問に回答します。
ChatGPTは危険ですか?
基本的なルールを守れば危険性は低いサービスです。個人情報を入力しない、出力内容を必ず確認する、公式サービスを利用するという3つの基本を押さえれば、安心して使えます。
会話内容は保存されますか?
保存される期間や扱いは、利用しているプランや国・地域によって異なります。一般的には次のような違いがあります。
- 無料プラン・Plusプランの通常チャット: ユーザーが削除しない限り保存されます。削除した場合は、約30日以内にサーバーから消去されます。モデルの学習に使用されるかは設定次第です
- 一時チャット(Temporary Chat): 約30日で自動削除され、モデルの学習にも使われません
- Enterpriseプラン: 初期設定でモデルの学習に使われず、保持期間などの細かい設定ができます
地域による違いとしては、EU・EEA(欧州経済領域)ではAI法(AI Act)への対応が進められている関係で、過去の会話を覚えておく「メモリ機能」が利用できない場合があります。
米国では、2025年に米ニューヨーク・タイムズ社との訴訟の影響で、OpenAIに対し削除済みのチャットも含めた全ログの保管命令が一時的に出ていたこともありました。
日本を含むその他の国でも、制度づくりが色々と議論されているため、常に最新情報をご確認ください。
まとめ
ChatGPTの安全性は、正しく理解して使えば心配しすぎる必要はありません。ただし、個人情報の入力を避ける、出力された内容を確認する、公式サービスを利用するという基本ルールを守ることが大切です。
本記事で紹介したポイントを意識し、ChatGPTを上手に活用して、日々の暮らしや仕事に役立てていきましょう。

